2026.08.16
歯茎の腫れに抗生物質は市販で買えるのか|買える薬と買えない薬の違い、受診の目安を解説

こんにちは。京都府京都市右京区、西院駅から徒歩4分の京都西院歯医者 ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
歯茎が腫れて痛みが出たとき、ドラッグストアで薬を探す患者さまは少なくありません。「歯茎の腫れに効く抗生物質を市販で買えないだろうか」と考える方も多いところです。
結論からお伝えすると、歯茎の腫れに使う抗生物質の飲み薬は市販されていません。薬局の店頭でも通販サイトでも、購入できない仕組みになっています。
一方で、歯科を受診するまでの間に使える市販薬はあります。この記事では、買える薬と買えない薬の違い、抗生物質が市販されない理由、そして受診の目安までをお伝えします。
目次
歯茎の腫れに使う抗生物質は市販で購入できません

「腫れているのだから、細菌を抑える薬さえ手に入れば早く治るのではないか」。そう考える患者さまのお気持ちは自然なものです。
しかし歯科で処方される抗生物質の飲み薬は、ドラッグストアや薬局の店頭、通販サイトのいずれでも購入できません。アモキシシリン、セフカペン、クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど、名前を聞いたことのある薬もすべて同じ扱いです。
ここでは、抗生物質がどのように区分されているのか、そして市販で買える薬とは何が違うのかを確認していきます。
抗生物質の飲み薬はすべて医療用医薬品に分類されています
日本で販売されている薬は、大きく医療用医薬品と一般用医薬品に分かれます。一般用医薬品が、いわゆる市販薬にあたります。
抗生物質(抗菌薬)の飲み薬は、すべて医療用医薬品に分類されています。医師または歯科医師の処方に基づいて交付される薬です。
ドラッグストアで薬選びを相談できる登録販売者が扱えるのは、一般用医薬品の範囲に限られます。そのため、店頭で抗生物質を求めても取り寄せることはできません。
歯茎の腫れに抗生物質を使いたいと考えた場合、市販という選択肢は最初から存在しない、というのが現在の仕組みです。
処方箋がなければ購入できない制度上の理由
抗菌薬が処方を必要とする薬に位置づけられているのは、いくつかの理由が重なっているためです。
第一に、どの細菌が原因かによって選ぶべき薬が変わります。第二に、年齢や体格、腎臓や肝臓の働きに応じて量と期間を決める必要があります。第三に、アレルギーや副作用が起きたときに、医療者が対応できる体制が求められます。
これらは診察と検査を経て初めて判断できるもので、店頭での短いやりとりでは代えられません。
ドラッグストアで買える殺菌成分は抗生物質とは別のものです
市販の歯茎用の塗り薬やうがい薬には、「殺菌」と書かれた成分が入っています。セチルピリジニウム塩化物やイソプロピルメチルフェノール、ポビドンヨードなどです。
これらは触れた部分の細菌に働きかける消毒成分で、抗生物質とは働き方が異なります。抗生物質は飲むことで血液に乗り、体の内側から感染している場所へ届きます。一方の殺菌成分は、塗ったりすすいだりした表面にとどまります。
パッケージに「抗菌」と書かれていても、抗生物質が入っているわけではない、とご理解ください。
市販で買える薬と買えない薬の違い
歯茎が腫れたときに市販で買えるのは、痛みをやわらげる鎮痛薬、歯茎に塗る軟膏やジェル、洗口液、そして一部の漢方薬です。
買えないのは、抗菌薬の飲み薬と、歯科で歯周ポケットの中に入れる抗菌薬です。
両者を分けているのは、薬の目的の違いです。買えるものは痛みや腫れといった症状をやわらげる薬で、買えないものは感染そのものに働きかける薬になります。
「症状を抑える薬」と「原因に働く薬」は別のものだと考えると、店頭で迷いにくくなります。
歯茎の腫れに抗生物質が市販されていない医学的な理由

制度の説明だけでは、「決まりがなければ飲んでもよいのか」という疑問が残るかもしれません。
実際には、抗生物質を自己判断で使うことには医学的な問題がいくつも重なります。原因となる細菌が合わなければ効かないこと、薬が効きにくい細菌を増やしてしまうこと、そして副作用の管理が難しいことです。
歯茎の腫れに抗生物質が市販されていない理由を、この3つの角度から見ていきます。
原因菌が特定できないまま使っても効かないことがあります
抗菌薬には、それぞれ得意とする細菌の範囲があります。その範囲の外にある細菌には、量を増やしても効果は期待できません。
さらに、歯茎の腫れは細菌感染だけで起こるわけではありません。ウイルスによる炎症、飲んでいる薬の副作用による歯肉の増殖、妊娠中のホルモンの変化なども原因になります。頻度は高くありませんが、腫瘍が背景にあることもあります。
「腫れている」という症状だけでは、抗菌薬を選ぶ根拠にならないのはこのためです。
歯性感染症は複数の細菌がまじり合って起こります
歯が原因で起こる感染症は、口の中にいる口腔レンサ球菌と嫌気性菌の混合感染が主体だと報告されています。膿がたまった部分からは、1つの検体あたり2種類から3種類の菌が検出されることが多いとされています。
なかでもプレボテラ属には、抗菌薬を分解する酵素をつくる菌種が多いことが知られています。分解されてしまえば、飲んでも十分な効果は得られません。
体内への吸収率にも薬ごとの差があり、アモキシシリンが74〜92パーセントであるのに対し、一部の薬では20パーセント前後と報告されています。
自己判断での服用は薬剤耐性菌を増やすことにつながります
抗菌薬を中途半端な量や期間で使うと、その薬が効きにくい細菌が生き残りやすくなります。生き残った細菌が増えると、次に感染したときに使える薬が減っていきます。
「以前これで治ったから」という理由で手元の薬を飲む行動は、この状態を招きやすいものです。
薬剤耐性菌が広がると、本当に必要な場面で治療の選択肢が狭まります。将来の自分自身のために、抗菌薬を使う機会を必要なときに絞るという考え方が広がっています。
世界と日本で進む薬剤耐性対策
2021年の時点で、薬剤耐性菌による死亡は年間114万人、薬剤耐性菌が関連した死亡は年間471万人と推計されています。対策が進まない場合、2050年には全世界で191万人が薬剤耐性菌により死亡すると推定されています。
日本でも薬剤耐性対策アクションプランが定められています。2027年までに抗菌薬の使用量を2020年の水準から15パーセント減らす目標が示されています。
歯科で使われる飲み薬の抗菌薬の量は医科のおよそ10パーセントとされ、その多くが抜歯後などの感染予防を目的としていると報告されています。
副作用とアレルギーの管理には医療者の関与が必要です
抗菌薬では、下痢や吐き気、嘔吐といった副作用がみられることがあります。まれに肝臓の働きに影響が出る場合もあります。
また、ペニシリン系をはじめとする薬では、アレルギーが申告される頻度が比較的高いとされています。腎臓の働きが低下している方では、量や飲む間隔を調整する必要が生じます。
こうした確認を経ずに使う薬ではないという点も、市販されていない理由のひとつです。
抗生物質だけでは歯茎の腫れが治らない理由

仮に抗生物質が手に入ったとして、それだけで歯茎の腫れが治るのかというと、そうではありません。
歯科の治療で処置が行われるのは、腫れをつくっている原因が歯垢や歯石、歯の内部の感染といった「もの」だからです。
ここでは、原因を取り除くことが治療の中心である理由をお伝えします。あわせて、膿と薬の関係や、抗生物質が実際に使われる場面も見ていきます。
治療の基本は原因そのものを取り除くことです
歯茎の腫れの多くは、歯と歯茎の境目にたまった歯垢や歯石にひそむ細菌、あるいは歯の内部や根の先に入り込んだ細菌によって起こります。
抗菌薬は細菌の増殖を抑えますが、歯石を取り除いたり、根の中の感染した組織を除去したりする働きはありません。そのため、薬を飲んでいる間は落ち着いても、飲み終えると同じ場所が再び腫れることがあります。
歯石の除去、感染した根管の清掃、膿の切開、必要な場合の抜歯といった処置が治療の中心になるのはこのためです。
国内外のガイドラインが示している方針
厚生労働省が示した抗微生物薬の適正使用に関する手引きには、歯科編があります。歯が原因の感染症の治療は、感染根管治療や膿瘍の切開、抜歯などの局所処置が基本とされています。歯茎の腫れがなく痛みだけの状態では、飲み薬の抗菌薬は不要とされています。
米国歯科医師会が2019年に公表した診療ガイドラインでも、同じ方向の内容が示されています。免疫の働きが保たれた成人で、歯を残す治療をすぐに受けられる場合には、抗菌薬を上乗せしないことが推奨されています。あわせて、必要に応じて市販の鎮痛薬を用いる方針が示されています。
膿がたまった状態では薬が届きにくくなります
歯茎の中に膿がたまると、その部分は血の流れが乏しくなります。抗菌薬は血液に乗って運ばれるため、膿の内部までは届きにくくなります。
薬で散らそうとして日数が経つほど、腫れが広がり、処置の範囲も大きくなりやすい傾向があります。
どこに膿がたまり、どの歯が原因なのかを見極めることが、その後の負担を左右します。歯科用CTやマイクロスコープを用いて原因の位置を確認したうえで、処置の方針を検討しています。
歯科で抗生物質が使われるのはどのような場面か
ここまでの説明を読むと、「歯科に行っても薬は出してもらえないのか」と感じるかもしれません。
そのようなことはなく、必要と判断される場面では抗菌薬が処方されます。判断の分かれ目になるのは、炎症が一か所にとどまっているか、全身に及んでいるかという点です。
どのような状態で使われ、どのくらいで効果を判断するのかを続けてお伝えします。
発熱や広がる腫れなど全身の症状があるとき
発熱や強い倦怠感、あごの下のリンパ節の腫れ、腫れが一か所にとどまらず広がっている状態では、抗菌薬の投与が検討されます。
口が開けにくい、飲み込みにくいといった症状を伴う重い炎症もあります。あごの周囲まで炎症が及んだ場合を含め、専門の医療機関で点滴による投与が推奨されています。
この段階は、市販薬で様子を見てよい状態ではありません。
効果を判定する目安は3日から7日です
抗菌薬を使い始めたあと、効果を判断する目安は3日から7日以内とされています。
その間に改善しない場合や悪化する場合には、膿を出す処置を追加したり、薬を変更または中止したりすることが検討されます。治療のための投与を終える目安は、炎症の症状が消えてから24時間後とされています。
飲み続ければそのうち治る薬ではなく、経過を見ながら判断していく薬だとお考えください。
歯茎の腫れは原因によって必要な治療が変わります

市販薬で様子を見てよいかどうかは、歯茎の腫れの原因によって変わります。
同じように腫れて見えても、歯周病によるものと、歯の根の先の炎症によるものとでは、必要な処置がまったく異なります。
ここでは代表的な4つの原因を取り上げ、それぞれで歯科が行う治療をお伝えします。ご自身の状態に近いものがあるか、確認してみてください。
歯周病による腫れ
歯と歯茎の境目に歯垢や歯石がたまり、細菌によって歯茎に炎症が起きた状態です。腫れや出血、歯みがきのときの違和感として現れます。
歯周ポケットの深さは、健康な状態で1〜2ミリ、初期で3〜5ミリ、重度では6ミリ以上が目安とされています。治療の柱になるのは、歯石とプラークを取り除くことです。
欧州歯周病連盟が2020年に公表した診療ガイドラインも参考になります。歯周治療で飲み薬の抗菌薬を日常的に併用することは推奨されておらず、限られた患者さまで検討されうるとされています。
根尖性歯周炎による腫れ
虫歯が深く進んで歯の神経が感染し、根の先に炎症が広がって歯茎が腫れる状態です。
歯茎にできものができ、つぶれて膿が出ると一時的に楽になり、しばらくするとまた腫れる、という経過をたどることがあります。薬で落ち着いたように見えても、根の中の感染が残っていれば繰り返します。
治療は根管の内部を清掃し、密封することです。歯内療法を専門とする歯科医師と、歯科保存の認定を受けた歯科医師が在籍しています。ラバーダム防湿とマイクロスコープを用いた精密な根管治療に取り組んでいます。
智歯周囲炎による腫れ
親知らずの周囲に汚れがたまり、歯茎が炎症を起こした状態です。斜めや横向きに生えている場合や、一部だけ歯茎から出ている場合に起こりやすくなります。
睡眠不足が続いた時期や疲れがたまった時期に、繰り返し腫れることがあります。
歯科では周囲を洗浄し、炎症を抑える処置を行います。腫れを繰り返す場合には抜歯が検討されます。他院で難しいと言われた親知らずについても、レントゲンとCTで確認したうえでご相談を承っています。
歯根破折やその他の原因による腫れ
歯の根にひびが入ると、そこから細菌が入り込み続けます。抗菌薬を使っても侵入経路が残るため、腫れを繰り返しやすい状態です。
このほか、降圧薬や抗てんかん薬の副作用による歯肉の増殖、妊娠中のホルモンの変化による腫れなどもあります。
2週間以上治らないできものや、少しずつ大きくなる腫れは、別の原因も考えられます。市販薬で様子を見ずに、早めの受診をおすすめします。
すぐ歯科に行けないときに歯茎の腫れへ使える市販薬

夜間や休日で、すぐに歯科を受診できないこともあります。そのようなときに使える市販薬についてお伝えします。
ここでは商品名を並べるのではなく、成分がどう働くのか、その効果がどの程度の研究で確かめられているのかを合わせてお伝えします。
いずれも受診までの一時的な対応であり、腫れの原因を取り除くものではない点を先にお伝えしておきます。
痛みをやわらげる鎮痛薬
市販の鎮痛薬は、痛みの伝わり方に働きかけて症状をやわらげる薬です。炎症そのものを治すものではありません。
歯の痛みは、鎮痛薬の効果を確かめる研究で古くから用いられてきた領域です。そのため、成分ごとの効き方については比較的多くのデータが積み重なっています。
どの成分を選ぶかで感じ方が変わることもあるため、代表的な2つの成分について見ていきます。
イブプロフェンとアセトアミノフェンの違い
親知らずの抜歯後の痛みを対象とした研究をまとめたレビューがあります。イブプロフェン400ミリグラムの必要治療数は2.3と報告されています。アセトアミノフェン975〜1000ミリグラムでは3.6とされています。
必要治療数とは、1人に効果を得るために何人が服用する必要があるかを示す数値です。数値が小さいほど、効果が得られやすいと考えられています。
イブプロフェンには炎症を抑える働きもあるため、腫れを伴う痛みで選ばれやすい成分です。また、この2つを組み合わせると、それぞれ単独よりも痛みがやわらぎやすいと報告されています。
鎮痛薬を使うときに気をつけたいこと
市販薬は、決められた1回量と服用間隔を守ってお使いください。効かないからと続けて飲む使い方は避けていただきたいところです。
空腹時を避けること、複数の鎮痛薬を自己判断で重ねないことも大切です。組み合わせを検討する際は、薬剤師にご相談ください。
胃潰瘍の既往がある方、腎臓の働きが低下している方、喘息のある方、妊娠後期の方では使えない成分があります。痛みが引いたことを治ったと受け取り、受診をやめてしまうことが最も避けたい経過です。
歯茎に塗る軟膏・ジェル
歯茎に直接塗るタイプの医薬品は、腫れている部分にとどまって働くよう作られています。
届く範囲は歯茎の表面が中心で、歯周ポケットの奥深くや根の先までは届きません。表面の炎症をやわらげる役割だとお考えください。
どのような成分が入っていて、どう使えばよいのかを続けてお伝えします。
配合されている成分の役割と使い方
市販の歯茎用の薬には、細菌に働く殺菌成分が入っています。加えて、腫れや赤みをやわらげるグリチルレチン酸などの抗炎症成分が配合されています。歯茎の血行に働くビタミンEや、出血に用いられるトラネキサム酸を含む製品もあります。
いずれも症状に働く成分で、歯石やプラーク、根の中の感染を取り除くものではありません。
使うときは、歯みがきとうがいで汚れを落としてから塗ります。塗る部分の水分をやわらかいティッシュで軽く押さえて拭き取ると、薬剤がとどまりやすくなります。塗った直後の飲食は控えてください。
洗口液・うがい薬
洗口液は、口の中の細菌の量を減らす目的で使われます。歯ブラシによる清掃を補う位置づけであり、洗口液だけで歯垢が落ちるわけではありません。
アルコールを含むものは、炎症を起こしている歯茎にしみることがあります。腫れているときは、刺激の少ないものを選んでください。
研究で分かっていることを、代表的な成分について見ていきます。
クロルヘキシジン洗口液について分かっていること
51件のランダム化比較試験をまとめたコクランのレビューがあります。通常の歯みがきに加えてクロルヘキシジン洗口液を4〜6週間または6か月使うと、歯垢が大きく減少すると報告されています。
一方で、軽度の歯肉炎に対する改善の程度は、臨床的に大きいとは評価されていません。歯の着色や味覚の変化、粘膜への刺激といった副作用も報告されています。
なお、日本で販売されている洗口液は、海外の研究で用いられた濃度と異なる場合があります。
漢方薬と薬用歯みがきの位置づけ
排膿散及湯などの漢方薬が、化膿を伴う症状に用いられることがあります。ただし歯が原因の感染症を対象とした質の高い比較試験は限られており、鎮痛薬とは根拠の積み重なり方が異なります。
体質や飲み合わせもあるため、購入前に薬剤師へご相談ください。
また、薬用歯みがきや薬用洗口液は医薬部外品にあたり、予防や口の中を清潔に保つことを目的としています。すでに起きている腫れへの対応とは、目的が異なる製品です。
歯茎の腫れに市販薬を使うときに避けたい3つの行動

歯茎が腫れたとき、市販薬の選び方以上に結果を左右する行動があります。ここでは避けていただきたい3つをお伝えします。
1つ目は、以前処方された抗生物質の飲み残しを使うことです。前回と今回で原因が同じとは限らず、量や期間も今回の状態に合っているとは限りません。中途半端な服用は、効きにくい細菌を増やす一因にもなります。飲み残しがある時点で、前回の治療そのものが完了していない可能性もあります。
2つ目は、抗生物質を個人輸入することです。海外の通販サイトを通じた購入では、日本で有効性と安全性が確認されていない製品や、偽造品が届く可能性があります。厚生労働省も注意を呼びかけており、健康被害が生じても医薬品副作用被害救済制度の対象とならない場合があります。
3つ目は、症状が落ち着いたことを治ったと考え、受診をやめてしまうことです。歯茎の腫れは自然に引くことがありますが、原因が残っていれば同じ場所で繰り返します。そのたびに歯を支える骨が失われていくこともあります。腫れが引いたときこそ、落ち着いて処置を受けやすい時期です。
市販薬で様子を見てはいけない歯茎の腫れのサイン

市販薬で様子を見てよい状態と、すぐに受診したほうがよい状態には、はっきりとした違いがあります。
判断に迷うときの目安として、受診をためらわないでいただきたいサインをお伝えします。当てはまるものがあれば、時間帯を問わずご相談ください。
発熱や強い倦怠感を伴うとき
熱が出ている、体がだるい、食欲が落ちているといった症状がある場合、炎症が一か所にとどまっていない可能性があります。
市販の鎮痛薬には熱を下げる働きもあるため、熱と痛みが一時的に落ち着くことがあります。しかし感染そのものは進むことがあります。
薬で熱が下がったことを、治りかけの証拠と受け取らないようにしてください。
口が開けにくい、飲み込みにくいとき
指を縦に2本入れられない程度しか口が開かない、唾を飲み込むのがつらいといった症状は、炎症が深い層まで広がっているサインとされています。
このような状態では、専門の医療機関で点滴による治療が推奨されています。
歯茎の腫れに市販薬を足して様子を見る段階ではないため、速やかに医療機関へご連絡ください。
腫れが頬や首まで広がるとき
腫れが歯茎を越えて頬や首、目の下まで及んでいる場合、局所の処置だけでは対応が難しい段階に進んでいることがあります。
顔の輪郭が変わるほど腫れている、押すと熱を持っているといった変化は、そのままにせずご相談ください。
夜間や休日であれば、お住まいの地域の休日夜間診療の窓口を利用する方法もあります。
どこを受診すればよいか
歯が原因の腫れは、歯科または歯科口腔外科が対応します。原因がはっきりしない場合も、まず歯科で診察を受けていただければ、必要に応じて医科へご紹介します。
診療は平日9時30分から19時、土曜は18時30分までで、日曜と祝日以外は水曜も診療しています。お仕事帰りやご予定の合間にもご相談いただけます。
妊娠中の方やお子さまが歯茎の腫れに市販薬を使うときの注意点
歯茎の腫れに市販薬を使う際、一般的な選び方をそのまま当てはめられない場合があります。
妊娠中や授乳中の方、お子さま、持病があり薬を続けて飲んでいる方です。それぞれ気をつけていただきたい点をお伝えします。
妊娠中・授乳中の方
妊娠中は女性ホルモンの変化により歯茎が腫れやすくなり、妊娠性歯肉炎がみられることがあると報告されています。
鎮痛薬には、妊娠の週数によって使用を避けたほうがよい成分があります。市販薬を選ぶ前に、産婦人科と歯科にご相談ください。
母子手帳をお持ちいただければ、週数や体調に合わせて対応を検討できます。妊娠中期の安定期は、治療を進めやすい時期とされています。
お子さまの歯茎が腫れたとき
お子さまでは、年齢や体重によって使える成分と量が異なります。大人用の鎮痛薬や塗り薬をそのまま使うことは避けてください。
乳歯の虫歯が進行し、歯茎に膿の出口ができることもあります。腫れを繰り返す場合は、あとから生えてくる永久歯への影響も考えて早めにご相談ください。
女性の歯科医師が5名在籍し、キッズルームや無料の託児にも対応しています。保護者の方もご一緒に受診いただけます。
持病があり常用薬を服用している方
糖尿病がある方では、歯茎の炎症が悪化しやすいとされています。血液を固まりにくくする薬を飲んでいる方は、出血に関わる成分の扱いに注意が必要です。
腎臓の働きが低下している方では、使える鎮痛薬が限られる場合があります。
受診の際は、お薬手帳をご持参ください。飲んでいる薬の内容が分かると、処置や処方の方針を決めやすくなります。
歯茎の腫れを繰り返さないためにできること

歯茎が腫れるたびに市販薬を買いに行く状況は、患者さまにとって負担の大きいものです。
腫れを繰り返さないためには、腫れてから対応するのではなく、腫れにくい状態を保つことが役に立ちます。
ここでは、毎日のケアで届く範囲と届かない範囲、体調との関係、そして定期的なメインテナンスの役割をお伝えします。
セルフケアで落とせる汚れと落とせない汚れ
歯ブラシで落とせるのは、主に歯の表面についたプラークです。歯と歯の間や歯周ポケットの入り口には届きにくく、歯間ブラシやデンタルフロスが必要になります。
いったん石灰化して歯石になった汚れは、歯みがきでは取れません。
腫れているときは、硬い毛先で強くこすらず、やわらかい歯ブラシで小さく動かしながら丁寧に磨いてください。出血があっても、汚れを残さないことが炎症の落ち着きにつながります。
体調の変化と歯茎の腫れの関係
忙しい時期や睡眠不足が続いた時期に、決まって歯茎が腫れるという患者さまもいらっしゃいます。
疲れやストレスは、腫れそのものを作るというより、もともとあった炎症を表面に出す引き金になると考えられています。
繰り返す腫れの背景についてより詳しくは以下をご覧ください。
>>歯茎の腫れは疲れやストレスが原因なのか|繰り返す腫れの正体と対処法・受診の目安
定期的なメインテナンスが果たす役割
数か月から半年に一度、歯石の除去と歯茎の状態の確認を受けることで、腫れが起きる前に対処しやすくなります。
唾液の量や性質、生活習慣を調べてリスクを把握したうえで、一人ひとりに合わせた予防プログラムを立てる進め方を取り入れています。担当の歯科衛生士が継続して関わることで、前回との小さな変化にも気づきやすくなります。
歯茎の腫れと市販薬に関するよくある質問
最後に、歯茎の腫れと市販薬について、患者さまからよくいただく質問にお答えします。
ジスロマックやフロモックスは市販で買えますか
いずれも医療用医薬品にあたるため、市販されていません。代わりになる抗菌薬の市販薬も販売されていないのが現状です。歯科で診察を受けたうえで、必要と判断された場合に処方されます。
市販の痛み止めは歯茎の腫れに効きますか
痛みをやわらげる働きは期待できます。ただし腫れの原因である細菌や感染そのものには働かないため、一時的な対応にとどまります。痛みが引いても、原因が残っていれば再び腫れることがあります。
抗生物質を飲めば何日で腫れは引きますか
効果を判断する目安は3日から7日以内とされています。その間に改善しない場合は、膿を出す処置の追加や薬の見直しが検討されます。処置を伴わない場合、飲み終えたあとに繰り返すことがあります。
抗生物質が入った市販の塗り薬を歯茎に使えますか
皮膚の化膿に使う抗菌成分入りの外用薬は市販されています。ただし口の中への使用は想定されていないため、歯茎には使わないでください。口の中には、口腔用と表示された薬をお使いください。
まとめ:歯茎の腫れに市販の抗生物質は使えないため、原因に応じた治療を受けましょう

歯茎の腫れに使う抗生物質の飲み薬は市販されておらず、ドラッグストアや通販で購入することはできません。市販薬でできるのは、痛みや腫れをやわらげる一時的な対応です。
仮に抗生物質が手に入ったとしても、それだけで腫れが治まるわけではありません。原因である歯石やプラーク、根の中の感染を取り除かない限り、同じ場所で繰り返しやすくなります。
発熱がある、口が開けにくい、飲み込みにくい、腫れが頬や首まで広がるといった症状がある場合は、市販薬で様子を見ずに受診してください。
京都府京都市右京区、西院駅から徒歩4分の京都西院歯医者 ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科では、歯茎の腫れの治療において、歯科用CTやマイクロスコープで原因を確認し、個室のカウンセリングルームで治療の選択肢と見通しをご説明したうえで進めるという方針で取り組んでいます。歯茎の腫れや膿、繰り返す痛みでお困りの方は、まずはお気軽にご相談ください。
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