2026.09.21
親知らずの抜歯費用|保険適用時の相場と診療報酬点数から見る総額の内訳

こんにちは。京都府京都市右京区、西院駅から徒歩4分の京都西院 ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
親知らずの抜歯を勧められたものの、費用が分からず迷っている方は少なくありません。「いくら持っていけばよいのか」という不安は、受診をためらう理由になりやすいものです。インターネットで調べても、記事ごとに提示されている金額が食い違って見えることがあります。
保険診療の費用は、本来であれば全国どこでも同じ計算になるはずのものです。それなのに金額が違って見えるのには、はっきりとした理由があります。この記事では、親知らず抜歯の費用を診療報酬点数という共通の土台から計算していきます。
生え方ごとの金額に加えて、来院1回ごとに窓口で支払う金額の目安まで示します。さらに、事前の見積もりどおりにならない場合があることや、民間の医療保険の扱いについても解説します。
親知らずの抜歯は、多くの方が一度は向き合う処置です。費用の全体像が見えれば、受診の一歩を踏み出しやすくなります。抜くかどうかを決めるのはその後で構いません。まずは金額の目安から確認していきましょう。
目次
- 親知らずの抜歯費用は保険適用で1本あたり約800円から4,000円程度
- 親知らずの抜歯費用が全国どこでも同じ計算になる仕組み
- 【生え方別】親知らずの抜歯費用を診療報酬点数から計算する
- 親知らずの抜歯費用のほかに窓口で支払う費用の内訳
- 【通院回ごと】親知らずの抜歯費用を窓口の支払いでシミュレーション
- 親知らずの抜歯費用が保険適用になる場合と自費になる場合
- 親知らず抜歯の費用が見積もりどおりにならない3つの理由
- 親知らずの抜歯を大学病院・総合病院で行う場合の費用
- 親知らず抜歯の費用に民間の医療保険の給付金は使えるか
- 親知らずの抜歯費用だけで判断する前に確認しておきたいこと
- まとめ:親知らずの抜歯費用については当院にご相談ください
- 参考文献
親知らずの抜歯費用は保険適用で1本あたり約800円から4,000円程度

親知らずの抜歯費用について、まず知りたいのはおおよその金額でしょう。結論からお伝えすると、抜歯手術そのものにかかる窓口負担は、3割負担の場合で約800円から4,000円程度です。
この幅は、親知らずの生え方によって処置の内容が変わることから生まれます。
ただしこの金額は、抜歯という処置だけを取り出したものです。実際に窓口で支払う金額には、初診料や検査の費用も加わります。ここからは、生え方によって費用が変わる理由と、費用全体の組み立て方について順に解説します。
費用の差は「処置の分類」で決まります
歯科の保険診療では、抜歯の費用は歯の場所ではなく処置の分類によって決まります。分類は大きく、普通抜歯、難抜歯、埋伏歯の抜歯の3つに分かれます。まっすぐ生えていて器具をかけられる親知らずは、普通抜歯として扱われます。
一方、歯ぐきや骨の中に埋まっている親知らずは、切開や骨の削除をともなうため埋伏歯の抜歯になります。「自分の親知らずはどの分類に入るのだろう」と気になるところですが、これはレントゲン写真を見ながら歯科医師が判断します。
分類が変われば費用も変わるため、まずは検査を受けて自分の生え方を知ることが、費用を知る出発点になります。
普通抜歯・難抜歯・埋伏歯という3つの分類
普通抜歯は、器具をかけて歯を動かし、そのまま取り出せる状態を指します。難抜歯は、歯根が骨と癒着していたり形が複雑だったりして、骨を削る処置や歯根を分けて取り出す処置が必要な状態です。
埋伏歯の抜歯は、歯が歯ぐきや骨に埋まっていて、切開しなければ歯に到達できない状態を指します。歯の見た目が同じように見えても、骨の中の状態によって分類は変わります。
分類は画像と診察をもとに歯科医師が判断します
どの分類にあたるかは、レントゲン画像で歯根の形や向き、骨との位置関係を確認したうえで判断されます。あわせて、口を開けたときに器具が届く位置かどうかも診察で確かめます。
この判断が費用の大部分を決めるため、金額を知りたい場合はまず検査を受けることが近道になります。電話で費用だけを尋ねても、幅のある回答しか得られないのはこのためです。
費用は「処置料・検査料・初診料・薬代」で組み立てられます
窓口で支払う金額は、抜歯の処置料だけではありません。初めて受診した日には初診料がかかり、親知らずの位置を確認するためのレントゲン撮影も必要になります。
抜歯後には痛み止めや抗菌薬が処方され、院外の薬局で支払う薬代も加わります。
さらに、抜歯した翌日の消毒や、1週間後の抜糸のために再度来院することが一般的です。そのため通院は2回から3回になり、費用も来院ごとに分かれて発生します。
総額だけを見ると高く感じられますが、1日あたりの支払額は数百円から数千円の範囲に収まることがほとんどです。
親知らずの抜歯費用が全国どこでも同じ計算になる仕組み

親知らずの抜歯費用を調べていると、記事ごとに提示されている金額が違うことに気づきます。「どれが正しいのだろう」と迷った方もいらっしゃるはずです。
保険診療の費用は国が定めた診療報酬点数によって決まり、同じ処置であれば全国どこでも同じ点数が使われます。
それにもかかわらず金額が違って見えるのには、いくつかの理由があります。ここでは点数の計算方法を確認したうえで、金額が違って見える理由を3つに分けて解説します。
1点10円で計算され、窓口では自己負担割合分を支払います
診療報酬は金額ではなく点数で定められており、1点あたり10円として計算されます。たとえば270点の処置であれば、費用の総額は2,700円です。健康保険証を提示した場合、窓口で支払うのは原則としてその3割にあたる810円になります。
年齢や所得によって、自己負担割合が1割または2割になる場合もあります。この仕組みは全国共通で、歯科医院の規模や地域によって点数そのものが変わることはありません。
つまり「近所の歯科医院だから安い」「駅前だから高い」といった差は、保険診療の範囲では生じないことになります。
2026年度の診療報酬改定後の点数(2026年9月時点)
診療報酬の点数は、原則として2年に1度見直されます。2026年度の改定では、歯科初診料が267点から272点へ、歯科再診料が58点から59点へと改められました。この記事で示す金額は、いずれも2026年9月時点の点数にもとづく計算です。
点数は改定によって変わるため、受診される時点の正確な金額は歯科医院で確認してください。あわせて、算定される項目は口腔内の状態によっても変わります。
同じ処置でも医院ごとに金額が違って見える理由
点数が全国一律であるにもかかわらず、実際の支払額に差が出ることはあります。その理由は、抜歯の処置料ではなく、それ以外の部分にあります。
主な理由は3つあり、いずれも読み解き方を知っていれば見積もりを比べやすくなります。次から順に確認していきます。
理由① 撮影する画像の種類が異なる
1つ目は、抜歯前に撮影する画像の種類です。パノラマエックス線撮影だけを行う場合と、歯科用CTまで撮影する場合では、検査部分の点数が大きく変わります。
歯科用CTは、下顎管という下あごの神経が通る管と歯根の位置関係を、立体的に確認するために用いられます。
どちらを撮影するかは親知らずの状態によって判断されるため、同じ抜歯でも検査費用に差が生まれます。
理由② 初診日に算定される管理料や加算が医院で異なる
2つ目は、初診日に算定される項目の違いです。歯科では、お口の状態を継続的に管理するための管理料や、院内感染防止対策・医療安全体制に関する加算が設けられています。
これらは届出をしている医療機関で算定されるため、医院によって初診日の合計額が変わります。抜歯手術の点数は同じでも、初診日の支払額に差が出るのはこのためです。
理由③ 示されている金額が「処置料だけ」か「総額」かで違う
3つ目は、金額の示し方の違いです。抜歯手術の処置料だけを示した記事と、初診料や検査を含めた1日の支払額を示した記事が混在しています。前者は数百円台、後者は数千円台になるため、並べて見ると食い違って見えます。
見積もりを比べるときは、その金額に何が含まれているかを確かめると判断しやすくなります。
自己負担の割合や保険証の扱いで変わる部分
同じ点数でも、窓口で支払う金額は自己負担の割合によって変わります。小学校入学後から69歳までの方は原則3割、70歳から74歳の方は原則2割、75歳以上の方は原則1割です。所得によって割合が異なる場合もあります。
健康保険証やマイナンバーカードを持参できなかった場合は、いったん全額を支払う扱いになることがあります。
その場合は、後日窓口へ提示するか、加入している健康保険へ申請することで払い戻しを受けられます。手続きの方法は医療機関によって異なるため、受付で確認してください。
【生え方別】親知らずの抜歯費用を診療報酬点数から計算する

ここからは、実際の点数を用いて親知らず抜歯の費用を生え方別に計算します。抜歯手術の点数は、乳歯、前歯、臼歯、埋伏歯の4つに区分されています。親知らずは奥歯にあたるため、通常は臼歯または埋伏歯のいずれかで算定されます。
これに加えて、処置の難度に応じた加算が設けられています。生え方ごとに、どの区分と加算が当てはまるのかを順に見ていきます。
まっすぐ生えている親知らず(普通抜歯)の費用
歯ぐきから歯冠が十分に出ていて、歯根の形が単純な親知らずは、臼歯の抜歯として270点で算定されます。3割負担であれば、窓口での支払いは約810円です。器具をかけて動かせる状態であるため、切開や縫合をともなわないことが多くなります。
処置にかかる時間も短く、10分程度で終わることは珍しくありません。ただし歯根の本数や曲がり方によっては、次に説明する区分に変わる場合があります。
上顎のまっすぐな親知らずは短時間で済む傾向があります
上あごの骨は、下あごに比べて密度が低いとされています。そのため、まっすぐ生えた上顎の親知らずは、比較的短い時間で抜歯できることが多いと報告されています。抜歯後の腫れも、下あごより軽く済む傾向があります。
ただし上顎洞という空洞が歯根に近い場合には、事前に位置関係を確認する必要があります。
下顎でも歯冠が出ていれば普通抜歯の区分です
下あごの親知らずであっても、歯冠が歯ぐきから出ていて器具をかけられる状態であれば、臼歯の抜歯として算定されます。下あごは骨が硬いため処置に時間がかかることはありますが、区分そのものは変わりません。
一方、歯根が骨と癒着している場合には区分が変わり、費用も上がります。
骨と癒着している・歯根が複雑な親知らず(難抜歯)の費用
歯根が肥大している場合や、歯根と骨が癒着している場合には、通常の方法では歯を取り出せません。こうしたときには、骨を削って歯の周囲を広げたり、歯根を分割したりする処置が必要になります。
この処置を行った場合、難抜歯加算として230点が加わります。臼歯の270点と合わせて500点となり、3割負担では約1,500円です。処置の工程が増えるぶん、費用も上がる仕組みになっています。
難抜歯と判断されやすい親知らずの状態
歯根が2本以上に分かれていて、それぞれが別の方向へ曲がっている場合は難抜歯になりやすい状態です。歯根の先が太くなっている場合や、周囲の骨と一体化している場合も同様です。
年齢が上がると歯根と骨の結びつきが強くなる傾向があり、若い頃であれば普通抜歯で済んだ歯が難抜歯になることもあります。抜歯を勧められた時期に判断することには、こうした意味もあります。
歯ぐきや骨に埋まっている親知らず(埋伏歯)の費用
歯ぐきの中や骨の中に埋まったままの親知らずは、埋伏歯として1,080点で算定されます。3割負担では約3,240円です。歯ぐきを切開して歯を露出させ、必要に応じて骨を削り、歯を分割して取り出したうえで縫合します。
工程が多く時間もかかるため、点数も高く設定されています。埋伏の深さや向きによって加算の有無が変わるため、次から個別に見ていきます。
下顎の水平埋伏智歯・完全埋伏智歯には加算があります
下あごの親知らずが横向きに埋まっている水平埋伏智歯や、骨の中に完全に埋まっている完全埋伏智歯の場合、230点が加算されます。合計で1,310点となり、3割負担では約3,930円です。
下あごは骨が硬く、下歯槽神経が近くを通っているため、慎重な処置が求められます。この難度の高さが、加算が設けられている背景にあります。
上顎の埋伏した親知らずの場合
上あごの埋伏歯には、下あごのような加算は設けられていません。そのため1,080点、3割負担では約3,240円での算定になります。ただし上顎洞と歯根が近い場合には、位置関係を確認するために歯科用CTを撮影することがあります。
その場合は検査費用が加わるため、1日の支払額は上がります。
抜歯手術のほかに同日算定される処置
抜歯当日には、抜歯手術以外の処置が算定されることもあります。傷口を縫合した場合の処置や、投薬のための処方箋料などが該当します。これらを含めても、1回の窓口負担が大きく跳ね上がることは多くありません。
会計時に受け取る明細書には算定された項目が記載されているため、内訳を確認できます。金額に疑問が残る場合は、その場で尋ねていただいて差し支えありません。
親知らずの抜歯費用のほかに窓口で支払う費用の内訳

抜歯手術の点数だけでは、実際に支払う金額にはなりません。親知らず抜歯の費用の全体像をつかむには、それ以外の項目を知っておく必要があります。
窓口で支払う費用は、初診料と再診料、画像検査、麻酔と投薬、術後の処置という4つに分かれます。
どれも抜歯を安全に進めるために必要なものです。ここからは、それぞれの目安を順に確認していきます。
初診料と再診料
初めて受診した日には、歯科初診料として272点が算定されます。3割負担であれば約820円です。2回目以降の来院では歯科再診料として59点、3割負担では約180円になります。
初診料は、前回の治療が終わってから一定の期間が空いた場合にも、あらためて算定されます。親知らずの抜歯では2回から3回の通院になるため、再診料が複数回かかることを見込んでおくと安心です。
レントゲン・歯科用CTの検査費用

親知らずを抜く前には、必ず画像検査を行います。歯根の本数や向き、周囲の骨の状態、神経との距離を確認するためです。撮影の方法によって費用は変わり、パノラマエックス線撮影と歯科用CTでは点数に差があります。
それぞれの目安と、どのような場合に歯科用CTが必要になるのかを見ていきます。
歯科パノラマ断層撮影の費用
パノラマエックス線撮影は、上下の歯列全体を1枚の画像で確認できる方法です。デジタル撮影の場合、写真診断と撮影料を合わせて約400点となり、3割負担では約1,200円になります。
親知らずの位置や向き、隣の歯との関係を把握する目的で、抜歯前に広く用いられています。多くの場合、この1枚で処置の計画を立てられます。
歯科用3次元エックス線断層撮影(CT)が必要になるケース
歯科用CTは、写真診断450点と撮影料600点を合わせて1,050点となり、3割負担では約3,150円です。下顎管と歯根が近接している場合や、歯根が大きく湾曲している場合に用いられます。
パノラマ画像に歯科用CTを加えた場合の効果を検討したシステマティックレビューがあります。神経の障害が減るかどうかについて、一貫した結論は得られていないと報告されています。
一方で、位置関係を立体的に把握できること自体の有用性は広く認められています。当院では歯科用3D CTを備え、顎の骨の厚みや神経の位置まで確認したうえで処置の方針を検討しています。
検査を増やせば費用は上がりますが、判断材料も増えます
「そこまで検査が必要なのだろうか」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。検査を追加すれば、その分の費用は加わります。ただし、得られる情報も増えます。
神経との距離が事前に分かれば、処置の進め方や所要時間の見通しを立てやすくなります。どの検査が必要かは親知らずの状態によって異なるため、歯科医師が一人ひとりの画像を見て判断します。
麻酔・投薬・抜糸にかかる費用
親知らずの抜歯は、原則として局所麻酔で行われます。局所麻酔にかかる費用は、多くの場合で抜歯手術の点数に含まれています。
抜歯後には痛み止めや抗菌薬が処方されることがあり、院外処方の場合は薬局で数百円程度を別に支払います。
抜歯後の感染を防ぐ目的での抗菌薬について、Cochraneのシステマティックレビューが公表されています。全身的に健康な方では、合併症を予防する効果は限られると報告されています。
そのため、処方の有無は口腔内の状態や全身の状態をふまえて判断されます。抜糸は、再診料の範囲で行われることが一般的です。
静脈内鎮静法などの選択肢について
歯科治療に強い不安がある場合、静脈内鎮静法が選ばれることがあります。点滴から鎮静薬を投与し、うとうとした状態で処置を受ける方法です。緊張や不安をやわらげる効果が期待できます。
適応や費用の扱いは、症例と医療機関によって異なります。希望される場合は、事前の相談が必要になります。当院には日本歯科麻酔学会の歯科麻酔専門医が在籍し、全身の状態を確認したうえで麻酔を担当しています。
抜歯後に追加で費用がかかる場合
抜歯後の経過が順調であれば、消毒と抜糸で通院は終わります。ただし、まれに追加の処置が必要になることがあります。代表的なものが、抜いた穴の血のかたまりが失われて骨が露出するドライソケットです。
この場合は、傷口の洗浄や薬剤を用いた処置のために数回の来院が必要になります。いずれも保険診療の範囲で行われ、1回あたりの負担は再診料と処置料を合わせた数百円程度です。
腫れや痛みが長引く場合も同様に、通院の回数が増えるぶんだけ費用が加わります。
【通院回ごと】親知らずの抜歯費用を窓口の支払いでシミュレーション

ここまでに示した点数を組み合わせて、親知らず抜歯の費用を来院回ごとに計算します。総額だけを見るよりも、1回ごとに支払う金額が分かるほうが準備しやすいはずです。
以下は3割負担で、パノラマエックス線撮影を行った場合を想定した目安です。
医院の体制や処置の内容によって変わるため、そのまま当てはまるわけではありません。実際の金額の幅をつかむための参考としてご覧ください。
1回目の支払い目安|初診・検査・相談
初診日には、歯科初診料272点とパノラマエックス線撮影の約400点が算定されます。合計で約670点となり、3割負担では約2,020円です。歯科用CTを追加した場合は約1,720点となり、約5,170円になります。
これに管理料などの項目が加わるため、実際の支払額はこれを上回ることが一般的です。初診日はまず検査と説明を行い、抜歯は後日という流れになることも多くあります。
2回目の支払い目安|抜歯当日
抜歯当日には、歯科再診料59点に抜歯手術の点数が加わります。まっすぐ生えた親知らずであれば329点となり、3割負担で約990円です。難抜歯にあたる場合は559点で約1,680円、下顎水平埋伏智歯の場合は1,369点で約4,110円になります。
このほかに、院外の薬局で痛み止めや抗菌薬の代金を支払います。1日の支払額としては、1,000円から5,000円程度を見込んでおくとよいでしょう。
3回目の支払い目安|消毒・抜糸
抜歯の翌日や数日後には、傷口の消毒のために来院します。1週間ほど経つと、縫合した糸を取る抜糸を行います。いずれも歯科再診料59点に処置が加わる程度で、3割負担では数百円程度に収まることがほとんどです。
腫れや痛みが続いている場合には来院の回数が増えることもありますが、1回あたりの負担は大きくありません。
2本・4本をまとめて抜く場合の費用の考え方
親知らずが複数本ある場合、費用は単純に本数倍にはなりません。抜歯手術の点数は本数分が算定されますが、初診料や画像検査は重複しないためです。4本すべてを抜く場合でも、パノラマエックス線撮影は1枚で全体を確認できます。
日程の組み方によって通院回数と費用が変わるため、2つのパターンに分けて見ていきます。
同じ日に複数本を抜く場合
片側の上下2本を同じ日に抜くケースはよくあります。この場合、再診料と検査は1回分で済むため、1本あたりの負担は下がります。一方で、片側で噛めなくなるため、食事の負担は大きくなります。
上下左右の4本を1日でまとめて抜く方法もありますが、全身への負担を考えて医療機関を選ぶ必要があります。
日を分けて抜く場合
1本ずつ、あるいは2本ずつ日を分けて抜く方法もあります。この場合は来院のたびに再診料がかかるため、合計額はやや増えます。
ただし、腫れや痛みが片側に限られるため、食事や仕事への影響を抑えられます。
どちらが適しているかは、生え方と生活の都合によって変わります。予定を伝えたうえで、歯科医師と相談して決めていくとよいでしょう。
4本すべてを抜く場合の総額の目安
上下左右の4本を、片側ずつ2回に分けて抜く場合を考えます。初診日に約2,000円、抜歯の日が2回で合計2,000円から8,000円程度、術後の通院が数回で1,000円前後といった組み立てになります。
生え方によって幅はありますが、保険診療の範囲であれば総額で1万円台に収まることが多くなります。ここに薬局での薬代が数回分加わります。
4本の生え方がそれぞれ異なることも多いため、検査後に本数ごとの見込みを確認しておくと安心です。
親知らずの抜歯費用が保険適用になる場合と自費になる場合

親知らずの抜歯は、多くの場合で健康保険が適用されます。ただし、抜歯の目的によっては自費診療になることもあります。「自分の場合は保険が使えるのだろうか」と気になる方もいらっしゃるでしょう。
判断の基準は、治療上の必要性が認められるかどうかにあります。保険が適用される場合と自費になる場合を、それぞれ具体的に見ていきます。
保険が適用される主なケース
親知らずの周囲に炎症が起きている場合や、痛みや腫れを繰り返している場合には、保険が適用されます。親知らず自体が虫歯になっている場合や、手前の歯を虫歯にしている場合も同様です。
横向きに生えて隣の歯を圧迫している場合や、歯ぐきとの隙間から細菌が入り炎症を起こしている場合も含まれます。こうした状態は、レントゲン撮影と口腔内の診察によって確認されます。
当院の口腔外科では横向きに生えた親知らずの抜歯にも対応しており、他院で断られた親知らずのご相談も受け付けています。
自費診療となるケース
一方で、治療上の必要性ではなく、予防や審美を目的とする抜歯は自費診療の扱いになります。現時点で症状がなく、周囲の組織にも問題が見られない親知らずが該当します。どのような場合が自費になるのか、代表的な2つのケースを見ていきます。
症状のない親知らずを予防的に抜く場合
症状がなく病変も見られない埋伏智歯について、抜くべきか残すべきかは議論が続いています。Cochraneのシステマティックレビューでは、予防的な抜歯と経過観察のどちらが優れているかを判断するには根拠が不足していると報告されています。
英国のNICEが示したガイダンスでも、病変のない親知らずの予防的な抜歯は推奨されていません。日本国内でも、生え方や清掃のしやすさをふまえて個別に判断されているのが実情です。
矯正治療を目的として抜く場合
矯正治療の計画上の理由で親知らずを抜く場合、その抜歯は自費診療になります。歯を並べるスペースを確保する目的や、治療後の後戻りを防ぐ目的などが該当します。
ただし、その親知らずに炎症や虫歯がある場合の判断は個別に異なります。矯正治療を検討されている方は、抜歯がどちらの位置づけになるのかを事前に確認しておくと、見通しが立ちやすくなります。
自費診療になる場合の費用について
自費診療の費用は、医療機関ごとに設定が異なります。そのため、一般的な相場として金額を示すことはできません。抜歯が保険適用になるか自費になるかは、検査と診察を経て判断されます。
費用が気になる場合は、治療方針の説明を受ける際にあわせて確認しておくと安心です。
親知らず抜歯の費用が見積もりどおりにならない3つの理由

費用を調べたうえで受診しても、想定と違う結果になることがあります。「思っていたより高かった」という経験は、次の受診をためらう理由になりかねません。
こうした差が生まれる背景には、親知らずの抜歯という処置の性質があります。
あらかじめ知っておけば、当日に戸惑わずに済みます。ここでは、見積もりどおりにならない理由を3つ取り上げます。
抜歯の難度は、処置の途中で判断が変わることがあります
レントゲン画像の段階では普通抜歯と見込んでいても、実際には歯根が骨と癒着していることがあります。その場合は骨を削る処置や歯根を分割する処置が必要になり、区分が難抜歯や埋伏歯の抜歯に変わります。
区分が変われば算定される点数も変わるため、費用も上がります。平面の画像は立体的な情報をすべて映し出せるわけではないため、こうした変更は起こりうるものです。事前の説明で幅を持たせた金額が示されるのは、このためです。
炎症が強いときは、当日の抜歯を見送る場合があります
親知らずの周囲に強い炎症が起きているときは、麻酔が効きにくくなります。この状態で処置を進めると、痛みを十分に抑えられないことがあります。そのため、まず抗菌薬で炎症を抑え、落ち着いてから抜歯を行う流れになります。
この場合、初診日には投薬と処置の費用がかかり、抜歯の費用は後日となります。当院では、炎症が強い状態で強引に処置を進めることはせず、日をあらためて対応する方針をとっています。
2回に分けて抜歯する方法が選ばれる場合があります
歯根が下顎管にきわめて近い場合、一度で抜くと神経に影響が及ぶ可能性があります。こうした症例では、まず歯冠の部分だけを切除し、歯根を残す方法が選ばれることがあります。
残った歯根が時間の経過とともに神経から離れた位置へ移動した後、あらためて抜歯します。処置が2回になるため、費用と期間も変わります。適応となる症例は限られますが、選択肢のひとつとして知っておくと役立ちます。
親知らずの抜歯を大学病院・総合病院で行う場合の費用

難度の高い親知らずでは、大学病院や総合病院の口腔外科を紹介されることがあります。「病院で抜くと高くなるのだろうか」と心配される方も少なくありません。保険診療である限り、抜歯手術そのものの点数は変わりません。
ただし、初診時の負担や検査の内容には違いが生じます。ここでは、病院で抜く場合の費用の考え方を解説します。
抜歯手術の点数は歯科医院でも病院でも同じです
診療報酬点数は全国共通であるため、埋伏歯の抜歯であれば病院でも1,080点です。下顎水平埋伏智歯の加算230点も、同じように算定されます。したがって、抜歯手術の部分だけを見れば費用に差はありません。
費用が変わるのは、初診時の負担と検査の内容によるものです。
紹介状なしで受診したときの定額負担
特定機能病院や、一定の規模以上の地域医療支援病院などでは、紹介状なしで受診した場合に定額の負担が必要になります。これは保険給付とは別に支払う費用で、選定療養と呼ばれる仕組みにもとづくものです。
対象となる病院や金額は病院ごとに定められているため、受診の前に確認しておくことをおすすめします。かかりつけの歯科医院から紹介状を受け取っていれば、この負担は生じません。
全身麻酔・入院をともなう場合の考え方
4本の親知らずをまとめて抜く場合や、全身の管理が必要な場合には、全身麻酔下での抜歯が選ばれることがあります。日帰りで行う場合と、1泊程度の入院をともなう場合があります。
入院をともなう場合は、抜歯の費用に加えて入院料や麻酔料が加わります。金額は施設や入院日数によって異なるため、事前に病院へ確認してください。
日帰りと入院では費用の構成が変わります
日帰りで全身麻酔を行う場合は、外来での処置として費用が計算されます。1泊以上の入院になる場合は、これに入院基本料や食事にかかる費用が加わります。
入院をともなう治療では、月ごとの自己負担に上限を設ける公的な仕組みの対象となる場合があります。適用の可否は所得や入院日数によって変わるため、加入している健康保険へ確認してください。
紹介を受ける場合の流れ
まずはかかりつけの歯科医院で検査を受け、抜歯の難度を確認します。院内での対応が難しいと判断された場合に、紹介状が発行されます。紹介先では、あらためて検査を行ったうえで抜歯の日程を決めるのが一般的です。
歯科医院で撮影した画像を持参できる場合は、検査の重複を避けられることもあります。紹介状を受け取る際に、画像データを持参できるかどうかを尋ねておくとよいでしょう。
親知らず抜歯の費用に民間の医療保険の給付金は使えるか

親知らずの抜歯にあたって、加入している医療保険から給付金を受け取れるのか気になる方は多くいらっしゃいます。実際、費用に関する検索のなかでも関心の高い項目のひとつです。
給付の可否は、加入している保険の契約内容によって決まります。ここでは一般的な考え方と、確認しておきたい手順をお伝えします。保険会社ごとに取り扱いが異なる点にはご注意ください。
手術給付金の対象になりうる処置
多くの医療保険では、公的医療保険の給付対象となる手術のうち、約款で定められたものが給付の対象とされています。
埋伏歯の抜歯は、診療報酬上で手術として算定される処置です。そのため、契約内容によっては手術給付金の対象となる場合があります。
一方、まっすぐ生えた親知らずの普通抜歯は、対象外とされることが一般的です。いずれにしても、判断は保険会社が約款にもとづいて行います。
給付の可否を確認する手順
確実なのは、加入先の保険会社または代理店に直接確認する方法です。その際、埋伏歯の抜歯にあたるかどうかを歯科医院で確認し、処置の内容を伝えると話が進みやすくなります。
給付の申請には、診断書や診療明細書の提出を求められることがあります。抜歯の前に必要書類を確かめておけば、後の手続きをスムーズに進められます。
なお、診断書の作成には別途費用がかかります。給付金の額と診断書の費用を見比べたうえで、申請するかどうかを判断される方もいらっしゃいます。保険会社によっては、診療明細書の写しだけで手続きが進む場合もあります。
公的医療保険との違いを押さえておきます
公的な健康保険は、窓口での支払いをその場で軽くする仕組みです。一方、民間の医療保険は、支払った後に契約内容に応じて給付金を受け取る仕組みになります。
そのため、民間の保険に加入していても、抜歯当日の窓口負担が減るわけではありません。当日に必要な金額は、この記事で示した目安をもとに用意しておくと安心です。
親知らずの抜歯費用だけで判断する前に確認しておきたいこと

費用は大切な判断材料ですが、それだけで抜歯を決める必要はありません。抜くかどうか、いつ抜くかという判断のほうが、長い目で見た負担に影響します。
「費用が心配だから、もう少し様子を見よう」という選択が、結果的に治療の範囲を広げてしまうこともあります。ここでは、費用の話から一歩離れて、判断の際に確認しておきたい点をお伝えします。
すべての親知らずを抜く必要はありません
親知らずがまっすぐ生えていて、噛み合わせにも問題がなければ、抜かずに経過を見る選択肢があります。上下がしっかり噛み合っていて、歯ブラシも届いている場合が該当します。
将来的に、歯を失った部位へ移植する材料として活用できる可能性もあります。抜く必要があるかどうかは、レントゲン撮影と診察をもとに判断されます。
先延ばしにすると処置が複雑になる場合があります
炎症を繰り返している親知らずをそのままにしておくと、手前の歯にも影響が及ぶことがあります。親知らずと手前の歯の隙間は歯ブラシが届きにくく、手前の歯が虫歯になることは珍しくありません。
そうなると、親知らずの抜歯に加えて手前の歯の治療も必要になり、費用と通院回数が増えます。また、年齢が上がるほど骨が硬くなり、処置に時間がかかる傾向があると報告されています。
手前の歯を守るという視点も、判断の材料に加えていただければと思います。
抜歯後の見た目の変化が気になる場合
親知らずを抜くと顔の輪郭が変わるのではないかと、期待を持つ方もいらっしゃいます。実際にどの程度の変化が期待できるのか、そして期待しすぎないほうがよい点はどこかについては、別の記事で詳しく解説しています。
親知らずの抜歯と見た目の関係についてより詳しくは以下をご覧ください。
>>親知らずを抜くと小顔になるのか|可能性と限界を歯科医が解説
受診前に確認しておくと安心な3つのこと
受診の際には、保険が適用されるか、当日に抜歯できるか、通院は何回になるかの3点を確認しておくと見通しが立ちます。この3つが分かれば、費用と日程の両方を見積もれます。
当院には個室のカウンセリングルームがあり、治療内容と費用について周囲を気にせずご相談いただけます。疑問を残したまま治療に進むことがないよう、説明の時間を確保しています。
抜歯の時期は生活の予定から逆算して決められます
親知らずの抜歯は、急を要する状態でなければ日程を選べます。腫れのピークは抜歯の翌日から2日後あたりに訪れ、1週間ほどかけて落ち着いていくことが多いとされています。
そのため、人前で話す予定や旅行、大きな行事の直前は避けたほうが無理がありません。週の後半に抜歯して、週末を回復にあてる方も多くいらっしゃいます。費用と同じように、日程も事前に見通しを立てておくと落ち着いて臨めます。
ただし、痛みや腫れがすでに出ている場合は別です。炎症が広がると処置が難しくなるため、その場合は早めに受診してください。
まとめ:親知らずの抜歯費用については当院にご相談ください

親知らずの抜歯費用は、保険診療であれば全国共通の診療報酬点数で計算されます。
抜歯手術そのものの窓口負担は、3割負担でまっすぐ生えた場合が約810円、下顎水平埋伏智歯の場合で約3,930円です。実際の支払額には、これに初診料や画像検査、薬代が加わります。
来院1回あたりでは、初診日が約2,000円から5,000円、抜歯当日が約1,000円から5,000円、抜糸の日が数百円程度が目安になります。
金額が医院によって違って見えるのは、撮影する画像の種類や、初診日に算定される項目が異なるためです。
また、処置の途中で難度の判断が変わることもあり、事前の見積もりに幅が生まれる点もご理解いただければと思います。
費用の見通しが立たないまま迷い続けるよりも、一度検査を受けて自分の親知らずの状態を知るほうが、判断はずっとしやすくなります。
京都府京都市右京区、西院駅から徒歩4分の京都西院 ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科では、親知らずの抜歯において、歯科用CTで神経との位置関係まで確認したうえで、横向きに生えた親知らずにも対応するという方針で取り組んでいます。
親知らずの痛みや腫れ、抜歯の費用でお困りの方は、まずはお気軽にご相談ください。
参考文献
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